未来をデザインする「エシカル」と「サステナブル」
-SDGsが導く新しい暮らしと
デザインのかたち

boxed water is better

はじめに:いま、デザインに求められている“倫理と持続可能性”

「SDGs」や「エシカル」という言葉を、近年ニュースやSNSで耳にする機会が増えた方も多いのではないでしょうか。

どちらも今の社会を語るうえで欠かせないキーワードであり、単なる流行語ではなく、私たち一人ひとりの行動や価値観を問う概念として世界中に広がっています。
特に建築やインテリア、ファッション、プロダクトなど“ものづくり”の分野では、この思想が大きな変化をもたらしています。

では、SDGsやエシカルの考え方が、これからのデザインや暮らしにどのような影響を与えるのでしょうか?

ここでは、エシカルデザインとサステナブルな未来の関係性を建築やインテリアの視点も交えながら深掘りしていきます。

SDGsとは?──持続可能な未来を目指す17のゴール

2015年、国連サミットで採択された「SDGs(Sustainable Development Goals)」は、2030年までに「誰一人取り残さない持続可能な社会」を実現するための国際的な行動目標です。

17のゴールと169のターゲット、232の指標で構成され、環境・社会・経済の三側面から世界の課題解決を目指しています。

SDGs

この17のゴールには各分野における私達一人一人が考えて関わっていかなければいけないことがたくさん含まれています。

各国の取り組みや達成度がどうだったかスコア化され、毎年ランキングが発表されています。

4:質の高い教育をみんなに

9:産業と技術革新の基盤をつくろう

12:つくる責任、つかう責任

14:海の豊かさを守ろう

15:陸の豊かさも守ろう

これらの項目はすべて「私たちの暮らしと密接に関係するテーマ」です。

実際、2024年の日本は166か国中18位。上位を占めたのはスウェーデン・デンマーク・フィンランドといった北欧諸国で、デザインと社会福祉が密接に結びついた国々が高く評価されています。

つまり、デザインとは単に見た目の美しさではなく、人と地球をつなぐ仕組みのひとつであることが改めて問われているのです。

エシカルとは?──“正しい選択”をデザインに生かす考え方

「エシカル(Ethical)」は“倫理的な”“道徳的な”という意味を持ちます。

法律で定められたルールではなく、「人として何が正しいか」を基準に行動する思想です。

例えば、私たちの生活に深く関わる次のような行動もエシカルの一部です。

  • プラスチック製品の使用を減らす

  • リサイクル素材の製品を選ぶ

  • 長く使えるものを大切にする

世界では年間約800万トンものプラスチックが、ごみとして海に流れ込んでいるとも推計されており、企業の多くもこの問題の取り組みについては掲げているところも多く、最近ではスターバックスなどのカフェでも廃棄問題を解決すべくストローのプラスチック製を廃止し、紙製のものに変更したり、スーパーやコンビニではビニール袋の無料化を取りやめ、有料化にすることで無駄なゴミを増やさないなど、様々な活動努力が行われています。

エシカルなデザインとは、人・社会・環境のすべてに配慮した選択をするデザインのことを指します。

私たち消費者も「安い・便利」だけでなく、「どんな素材で、どんな背景で作られているか」という視点を持つことが求められています。

エシカルデザインはその“選択の意識”を形にするものです。

木の再利用

 

エシカルデザインとサステナブル建築の関係

サステナブルとは「続くためのデザイン」 

 

「サステナブル(Sustainable)」とは「持続可能な」という意味です。

建築やインテリアの世界では、環境への負荷を最小限にし、長く使える仕組みをつくることが重視されています。

例えば:

  • 太陽光や自然風を取り入れるパッシブデザイン

  • リサイクル素材や地産材の活用

  • 解体後にも再利用できる建築構造

これらはすべてサステナブルな思想から生まれたもの。

美しさと機能性だけでなく、地球の未来を見据えた設計が求められています。

北欧デザインが示すエシカルな建築思想  

北欧諸国、特にデンマークはこの分野の先進国です。

自然光を生かした住宅設計、再生可能素材を活用した家具、公共空間のリサイクルシステムなど、すべてに「人と自然が共存するデザイン哲学」が息づいています。

これがSDGs達成度ランキングで北欧が常に上位に位置する理由の一つでもあります。

展示会に見るサステナブルデザインの潮流

世界のデザイン展示会では、エシカルやサステナブルをテーマとした出展がここ数年増えてきています。

 

ハイムテキスタイル(Heimtextil/ドイツ・フランクフルト)

世界最大のホームテキスタイル展では、リサイクル繊維や天然染料を使ったファブリックが注目を集めています。
ブースでは製品の“製造過程の透明性”を重視し、企業がいかに環境への責任を果たしているかが問われます。

 

メゾン・エ・オブジェ(MAISON & OBJET/フランス・パリ)

インテリア業界のトレンド発信地。近年は「Sustainable Luxury(持続可能な贅沢)」がテーマとなり、廃材を活かした高級家具やアップサイクル素材を使った照明などが展示されています。

 

これらの展示会は、単なる流行ではなく、「エシカルな価値観こそが新しいデザインの基準」であることを示しています。

エシカルデザインが生み出す5R   

サステナブルな社会を実現するためのキーワードが「5R」です。

Refuse(リフューズ) =ごみになるものを断ること。

Reduce(リデュース)=製品をつくる時に使う資源の量や廃棄物の発生を少なくすること。

Reuse(リユース)=使用済製品やその部品等を繰り返し使用すること。

Repair(リペア)=ものを修理して使うこと。

Recycle(リサイクル)=廃棄物等を原材料やエネルギー源として有効利用すること。

さらに近年注目されているのが、

6. Repurpose(リパーパス)=目的を変えて再利用する という考え方です。

例えば:

  • 廃材の木をまな板やインテリアパーツに再利用

  • 使い古したデニムをクッションカバーにリメイク

  • 建築解体時の資材を次の建築プロジェクトに再活用

こうした再利用の工夫は、「廃棄」から「創造」へと価値を変えるデザインの力を感じさせます。

木製のカトラリー

 

未来を変えるデザインの力──エシカルが導く豊かな暮らし

エシカルデザインとは、単に環境に優しいだけの取り組みではありません。

それは、私たちの“心の豊かさ”を取り戻すためのデザインでもあります。

大量生産・大量消費の時代を経た今、私たちは「何を選び、どう生きるか」を再びデザインし直す必要があります。

その中で、建築やインテリア、プロダクトデザインが果たす役割は非常に大きいのです。

  • 長く使えるものを選ぶ

  • 修理して愛着を持つ

  • 作り手の思想に共感して購入する

それが“デザインの新しい倫理”であり、エシカルデザインの本質です。

まとめ:デザインの未来は「サステナブル」から「心地よさ」へ

SDGsやエシカルデザインの実践は、地球環境を守るだけでなく、私たちの暮らしをより豊かにする可能性を秘めています。

エシカルな思想をもとにしたデザインは、「もの」ではなく「生き方」そのものを提案するデザインへと進化しています。

これからの建築・インテリア・ライフスタイルのデザインは、

  • 地球に優しく、

  • 人に寄り添い、

  • 長く続く心地よさをもたらすもの。

それこそが、未来のエシカルデザイン=共に生きるためのデザインなのです。

 

こちらではリサイクル素材やオーガニック素材のファブリックについてもご紹介しています↓↓↓

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