1950代という時代はデザインと機能性が融合したインテリアの黄金時代で、その代表的なスタイルが「ミッドセンチュリー・モダン(MID-century modern」として知られています。
この時代の家具やデザインは、現代のインテリアにおいても人気が高く、新鮮な魅力を持ち続けています。
ここでは、ミッドセンチュリー・モダンの特徴や家具、そして現代におけるミッドセンチュリーの再現するにはどうしたら良いか、などについて探ってみましょう。
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ミッドセンチュリー時代の背景
ミッドセンチュリーとは直訳すると「1世紀の中間」という意味になります。
一般的には、1950年代から1960年代にかけてのアメリカ合衆国のデザインや建築スタイルを指し、それは、第二次世界大戦後に繁栄と革新が起こった時期で、この時代は特にアメリカでの社会、経済、文化のさまざまな変化が起こった重要な時期でした。
そのミッドセンチュリー時代の主な背景をいくつか挙げてみます。
戦後復興と経済成長
第二次世界大戦の終結により、多くの国々が戦後復興の時期に入りました。
特にアメリカでは、戦争による需要と生産の増加によって経済が急速に成長し、「戦後ブーム」と呼ばれる状態が訪れました。
サバーバン(suburban) のブーム
戦後のアメリカでは、家族で郊外に住むという意味あいで、urban(都会的)の前にsubがついた「suburban Lifestyle(サバーバン・ライフスタイル)」が人気となりました。郊外では住宅の需要が高まり、家族向けの住宅地が急速に発展しました。
デザインの変革
ミッドセンチュリー時代は、デザインの分野でも大きな変革が起こりました。特に家具や建築において、機能性と美しさを兼ね備えた「ミッドセンチュリー・モダン」と呼ばれるデザインスタイルが誕生しました。
ポピュラーカルチャーの発展
映画、音楽、テレビなどのエンターテイメント産業が急速に発展し、ポピュラーカルチャーが栄えた時代でもありました。エルビス・プレスリー、マーロン・ブランドなどの人気のカリスマ的存在が登場し、若者文化が隆盛を迎えたのもこの時期でした。
科学技術の進歩
ミッドセンチュリー時代は、科学技術の進歩が著しかった時期でもあります。特に航空技術や宇宙開発が急速に進展し、宇宙競争が活発化したのでした。
社会的変化
この時期、人種差別に反対する公民権運動や女性の権利運動など、社会的な変化が起こり、反戦運動や文化的な革新もこの時期に現れました。
ミッドセンチュリー時代は、様々な分野での変革と進歩が起こった重要な時代であり、その影響は現代にも色濃く残っています。特にデザインやインテリアの分野では、ミッドセンチュリー・モダンの影響が今もなお、色褪せることなく続いています。
ミッドセンチュリー・モダンの特徴
ミッドセンチュリーのデザインで考えられる特徴をいくつか挙げてみます。参考にしてみてください。
シンプルでスマートなデザイン
ミッドセンチュリー・モダンの最も顕著な特徴は、シンプルでスマートなデザインになります。無駄のないシンプルな線や形状が特徴的で、そこには機能性と美しさも融合しており、そのデザインが全体的な空間を作り出します。
オーガニックな素材の使用
この時代の家具やインテリアデザインは、天然の素材を重視しています。木材や石材、ガラスなどが一般的に使用されることも多く、自然の美しさが生かされています。
機能性と快適さの追求
ミッドセンチュリー・モダンのデザイナーたちは、家具の機能性と使いやすさに重点を置いていたのも特徴的。機能性を保ちながらも、快適な空間を提供することが重要視されました。
鮮やかなカラーパレット
ホワイトやアースカラーをメインカラーに、鮮やかアクセントカラー取り入れるのが特徴的で、アクセントには特にオレンジ、イエロー、ミントグリーンなどがよく使用されました。
これらの鮮やかな色彩は、空間に活気と明るさをもたらしたといえます。
ミッドセンチュリー・モダンのデザイナー
この時代には多くのデザイナーが誕生しました。
ミッドセンチュリー・モダンのデザインを知るためには、そのデザイン背景も大事になります。ここでは主にアメリカで活躍した代表的なデザイナーをご紹介します。
チャールズ&レイ・イームズ(Charles and Ray Eames)
チャールズ・イームズ(Charles Eames、1907年 – 1978年)とレイ・イームズ(Ray Eames、1912年 – 1988年)は、夫婦でもあり、アメリカのデザイナーチームでもありました。
彼らは広範な分野で活躍し、数々の家具デザインを生み出しました。その他にも建築、映画なども手がけています。
イームズ・シェルチェア (Eames Shell Chair)
正式には「Eames Molded Plastic Shell Chair」で、彼らが最も有名なデザインは、FRP(繊維強化プラスティック)で製作されたチェアで、最初は1948年に発表されました。当初はシェル(座面と背もたれ)を金属の脚に取り付けたものが製作され、後に木製のベースの脚のものやロッキングチェアのバージョンも開発されました。
イームズ・ハウス (Eames House)
彼らはカリフォルニアにイームズ・ハウス「ケース・スタディ・ハウスNo.8」として知られる建物をデザインしています。これは、ミッドセンチュリー・モダンの代表的な建築物の一つとして高く評価されています。
ジョージ・ネルソン(George Nelson)
ジョージ・ネルソン(George Nelson、1908年 – 1986年)はアメリカの建築家、デザイナーで、ミッドセンチュリーモダンの時代に重要な役割を果たしました。彼はハーバード大学で建築を学び、デザイン分野で多くの業績を残しました。
ボールクロック (Ball Clock)
彼は多くの独創的な壁掛け時計をデザインしました。特にこの「ボールクロック (Ball Clock)」は有名な作品です。
ネルソン・ワッグ・レッグ・デスク (Nelson Swag Leg Desk)
このデスクは、曲線的な脚部が特徴で、当時の先進的なデザインとして知られています。
製品が発表されたのは1958年。スワッグ・レッグ・デスクは、その名前が示す通り、特徴的なスワッグ(曲げられた)形状の脚を持っています。オレンジやブルーなどカラフルな仕切り板で彩られたこのデザインと、木材はウォールナット材、天板にはホワイトラミネートという、当時の他の家具とは一線を画す先進的なスタイルで、ミッドセンチュリーモダンの象徴的な作品の一つとなりました。
エーロ・サーリネン(Eero Saarinen)
エーロ・サーリネン(Eero Saarinen、1910年 – 1961年)はフィンランドのクルヴァで生まれ、20世紀を代表するアメリカの建築家・デザイナーの1人として活躍しました。彼の父は著名な建築家エリエル・サーリネンであり、彼の家族はデザインや建築の世界に深く関与していました。エーロも父の影響を受け、建築に興味を持ちました。
サーリネンのデザインは、機能性と美しさを融合させることに焦点を当てていました。彼は建築物や家具などのデザインにおいて、独自のスタイルと革新的なアプローチを取り入れました。
チューリップチェア(Tulip Chair)
1956年にデザインされ、当時のモダンなデザインのトレンドを反映しています。
チューリップチェアは、その特徴的な円錐形の座面とスリムな一本脚が特徴的で、非常に洗練されたデザインです。また、座面が一体成型されたファイバーグラスやプラスチック製で、シンプルで流線型のフォルムが特徴的です。
まとめ
1950年代のミッドセンチュリー・モダンは、そのシンプルで美しいデザインと機能性によって、現代のインテリアにもなお新鮮な魅力を持ち続けています。イームズチェアなどの代表的な家具やアイテムを取り入れることで、空間に温かみと個性を与えることができます。
また、環境に配慮した自然素材の使用は、持続可能なインテリアの一環としても重要です。ミッドセンチュリー・モダンのデザインは、時代を超えた美しさと快適な生活を提供してくれます。ぜひ再現してみてくださいね!
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