デザインの作り方の必要なもののひとつにコンセプトがあります。
コンセプトと言っても漠然としていて、何に使われるものなのかとわからない方も多いのではないでしょうか?コンセプトとは一体どんなものなのか、そしてどのような役割があるのか具体的にご紹介していきます。
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コンセプトの役割
コンセプト(concept)という言葉には
企画・広告などで全体を通した基本的かつ統一的観点・考え方。
このような意味合いがあり、さらに『concept』を直訳すると『概念』という表現になります。
ちょっとわかりづらいので少し解説しますと・・・
例えば家を建てたりリノベーションしたりする場合に、インテリアや家具などを選ぶと思いますが、みなさんはどのようなことを考えて選びますか?
もちろん好きなテイストだったり、持っている家具や他のデザインと色を合わせたりなど楽しみながら探すことも大事です。ただそれだけだと全体的なバランスを見た時に、バラバラになってしまったりすることがありませんか?
そこでイメージのバランスをトータル的に整えていこうとした場合に必要なのが、根本の考え方となる「コンセプト」になります。
これはインテリアやファッションを選ぶ場合だけではなく、仕事の意味においても、お店を開業したり、事業を始めたりする上で「コンセプト」は重要な鍵となります。
何か新しい事業や商品を作ろうとした場合にコンセプトが決まっていないと、関わるスタッフやプロジェクトメンバーがイメージの共有ができず、作っていく過程でもどんどん方向性がブレてしまい、最終的にはお客様に何を伝えたいのかなどがわからなくなってしまうというケースが多々起こります。
空間演出、プランニング、商品フォルム、マーケティング・広告宣伝など幅広く関わってくるので企画段階からまずここをしっかり決めていくことが重要です。
コンセプトの種類
コンセプトは様々なものに使われることも多く、
商品コンセプト
ブランドコンセプト
事業コンセプト
デザインコンセプト
など。
ビジネスでこの言葉が使われる場面も非常に多いです。
コンセプトの他にも会社・企業となると企業理念やビジョンなどもあるので、その部分も考慮しながらコンセプトを決定し、共存できるものにすることも必要です。
例えば新しい商品を提案したい場合、そのプレゼン内容には必ず最初にコンセプトを示し、具体的にどのような機能があり、どのような満足を得ることができるのかなどを盛り込んでいくと受ける側にも伝わりやすくなります。
ブランドコンセプトの例
それでは代表的なブランドを例にそのコンセプトについて少しご紹介していきます。
シャネル
コンセプト:女性の服の解放
ココ・シャネルがパリで築いたブランド。
当時は喪服にしか使わなかった黒をファッションにいち早く取り入れたのも有名。
ルイ・ヴィトン
コンセプト:旅を楽しみ、人生を楽しむモノづくり。
フランスのスーツ職人だったルイ・ヴィトンが創設したブランド。
『旅』は現在も一貫してブランドの軸となっています。
artek
コンセプト:art(芸術)とtechnology(芸術)の融合。
建築家アルヴァ・アアルトが仲間と立ち上げたフィンランドを代表する家具や照明などを扱うブランド。
北欧から発信されるアイデアが詰まったデザインが特徴。
ディズニーランド
コンセプト:魔法の国
この一言が全てを物語っていますね。
スターバックスコーヒー
コンセプト:家庭でもなく職場でもない第3の空間
新しいカフェのスタイル。
コーヒーではなくこの第3の空間(サードプレイス)を売りたいと考えたコンセプト。
UNIQLO
コンセプト:美意識ある超合理性
世界中のあらゆる人々の日常を快適にする究極の普段着を作り続けていくことの想いがあります。
ル・クルーゼ
コンセプト:キッチンからテーブルまで
フランス生まれの鍋などで知られるキッチンウェア。
現在は多くの料理愛好家に親しまれています。
コンセプトで重要なことは?
コンセプトはキャッチコピーとは異なり、わかりやすくその世界観を一言で表現するものが望まれます。
イメージや価値をいかに言葉で表現するか、そして誰もに響くものであるのがポイントです。つまり、聞いた瞬間に全体像を連想できるものでなければなりません。
最近ではコンセプトムービーを作る企業やコンセプトショップというコンセプトをより追求表現したショップを新たに展開するブランドも増えてきています。
これらはコンセプトをさらに追求してお客様にいかにわかりやすく伝えるかということに繋がります。
コンセプトはそのものの根幹であり、また目指したい方向でもあり、継続していくことができることでなくてはなりません。いかにその想いを一言で伝えられるかが重要となります。
最近は「モノよりもコトの時代」と言われています。
これは「モノ」という商品そのものの消費から「コト」というその商品やサービスによって得られる体験を得たいという時代の流れを指します。
コンセプトをしっかり持つことで共感を得ることができ、ファンも増えていきます。そして価格以上の価値を感じてもらえることに繋がっていくのです。