— 個性をインテリアで表現する新しいスタイル —
なぜ今「Cluttercore」なのか?
近年、インテリアデザインの世界では「ミニマリズム」や「クワイエット・ラグジュアリー」のように、余白や上質な素材を活かした静かな空間が注目されてきました。しかしその一方で、全く逆のアプローチを取るスタイルがSNSを中心に人気を集めています。それが 「Cluttercore(クラッターコア)」 です。
「Clutter=散らかり」「Core=本質やスタイル」。一見するとネガティブに聞こえる“Clutter”という言葉をあえて肯定し、「自分の好きなものを飾り、あふれるほどに見せる」ことで個性を表現するインテリアの潮流です。特にZ世代を中心に拡散し、InstagramやTikTokでは「#Cluttercore」のタグで数百万件以上の投稿がシェアされています。
では、このCluttercoreがどのように生まれ、どんな特徴を持ち、どのように私たちの暮らしに取り入れられるのでしょうか?
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Cluttercoreとは?その定義と背景
Cluttercoreは「好きなものに囲まれた空間が、心地よさと幸福感を与える」という価値観に基づいています。特徴は以下のように整理できます。
物をあえて減らさない:雑貨、ポスター、本、植物、写真など、自分にとって大切なものを可視化する。
色と装飾の豊かさ:カラフルでエクレクティック(折衷的)な世界観。レトロポップ、ヴィンテージ、キッチュが入り混じる。
自己表現の場:部屋そのものが「自分のギャラリー」として機能する。
背景としては、パンデミックを経て「自宅にいる時間が増えたこと」、そして「SNSで部屋を見せる文化」が強まり、自分らしさを視覚的に発信するニーズが高まったことが大きな要因です。
Cluttercoreの魅力:ミニマリズムとの対比
『ミニマリズム』が与える安心感
ミニマリズムは「余白」「秩序」「シンプルさ」によって心を落ち着ける効果があります。物が少ないことで、掃除や管理も楽になり、暮らしが整う感覚を得られます。
『 Cluttercore』が与える充実感
一方、Cluttercoreは「雑多さ」から生まれるエネルギーが魅力です。好きなものを眺めることで喜びを感じ、記憶や物語に囲まれて暮らすことで安心感を得ます。
たとえば、本棚に並ぶ本や旅先で集めたオブジェは、自分の人生のストーリーを空間に刻み込みます。
選択肢としての多様性
現代のインテリアトレンドは「シンプルか派手か」の二択ではなく、**「自分に合う空間のあり方を選べる時代」**にシフトしています。Cluttercoreはその中で「自己表現の最大化」を象徴するスタイルだと言えるでしょう。
実践アイデア:Cluttercoreを空間に取り入れる方法
ギャラリーウォールを作る
壁一面にポスターや写真、アートを自由に貼ってみましょう。整然と並べる必要はなく、大小さまざまなフレームや形を組み合わせることで「散らかりの美学」が生まれます。
棚を“ディスプレイ台”にする
収納するのではなく「見せる収納」にシフトします。旅のお土産、フィギュア、アクセサリー、古着の一部などをオープンシェルフに飾ることで、日常的に眺められるギャラリー空間に。
カラフルなテキスタイルをミックス
カーテン、ラグ、クッションを異なる柄や色で組み合わせてみましょう。多少のアンバランスさがCluttercoreらしさを強調します。
光を演出に使う
フェアリーライトやネオンライトを取り入れると、夜の部屋が一層ドラマチックになります。雑多さが「映える空間」に変わるポイントです。
古いものを再利用する
ヴィンテージ家具やフリーマーケットのアイテムは、Cluttercoreの雰囲気を高めます。新しい家具よりも「物語を感じるもの」が空間に深みを与えてくれます。
Cluttercoreの心理的効果
心理学的にも、好きなものに囲まれる暮らしは「安心感」「創造性の刺激」「自己肯定感の向上」につながるといわれています。
特にZ世代は、デジタル世界でアイデンティティを発信することに慣れているため、部屋というプライベート空間でも自己表現を求める傾向が強く、それがCluttercore人気の後押しになっています。
取り入れる際の注意点
Cluttercoreは楽しい一方で「ただの散らかり」になってしまう危険性もあります。
テーマを決める:たとえば「旅行」「アート」「レトロポップ」など、自分が見せたい軸を設定。
ゾーニングを意識する:すべての部屋をCluttercoreにするのではなく、リビングやワークスペースなど一部に取り入れるとバランスが取れます。
掃除やメンテナンスを工夫:オープン収納が増えると埃も溜まりやすいので、定期的にケアする習慣が必要です。
Cluttercoreの未来と暮らし方の選択
2020年代は「ウェルネス」「サステナビリティ」「クワイエット・ラグジュアリー」など、さまざまなライフスタイルの潮流が交錯しています。その中でCluttercoreは「自己表現」を軸にしたユニークなポジションを占めています。
人によっては落ち着かないかもしれませんが、他の人にとっては「自分らしさを肯定できる癒しの空間」になります。重要なのは、トレンドをそのまま取り入れるのではなく、自分に合う形でアレンジして暮らしに組み込むことです。
まとめ
Cluttercoreは「雑多さを愛する」インテリアスタイルであり、自分の好きなものを可視化することで暮らしを豊かにする提案です。ミニマリズムとは正反対の発想ですが、いずれも「より良い暮らしを求める」という目的は同じ。
物をあえて飾る勇気
色や装飾の自由なミックス
自己表現を楽しむマインド
これらを取り入れることで、部屋は単なる生活の場から「パーソナルな物語を紡ぐ舞台」へと変わります。
Cluttercoreは単なるインテリアの一種ではなく、暮らしを自分らしくデザインするための新しいアプローチなのです。
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