北欧のヒュッゲや
フィーカから繋がる
インテリア5つのポイント

インテリアのスタイルなどを決める際に多く使われる『北欧デザイン』という言葉を聞いて、みなさんはどのようなインテリアを連想されるでしょうか?

例えばカラフルなファブリックや生活雑貨が使われているインテリア?
もしくは柔らかな光が灯るスタイリッシュなデザインのランプが置かれたインテリア?
それとも木の温もりを感じられるインテリア?

様々なイメージがあると思いますが、実は北欧のインテリアデザインにはその地域特有のライフスタイルが関係しているのです!

そんな北欧ライフスタイルと共に5つのインテリアポイントをご紹介していきます。

北欧のライフスタイル

北欧の夜と家

ヨーロッパを東西南北に分けた時に、北に位置するヨーロッパの中でスカンジナビア3国(ノルウェー、スウェーデン、デンマーク)とフィンランド 、アイスランドを含んだ国々を一般的には『北欧』と呼んでいます。

そこは気候的にも他の地域に比べると比較的に四季が感じられる地域です。

ただ日本は四季がはっきりしている国でもあるので、それに比べると春や秋は少々あっという間に過ぎてしまうように感じるかもしれません。

冬(11月~3月)では日も短く、寒い時期が続きますが、夏(6月~8月)は日も長くなるので明るい時間が長く、しかも気温も通常では20℃前後までしか上がらないので程よく過ごしやすくなります。

さらに北極圏の方へ近くなると冬は太陽が1度も昇らない極夜や夏は太陽が終日沈まない白夜があったりもするので、それは日本では体験できない不思議な感覚です。この気候を知ることで、北欧に住む人々がこの暗さの続く冬の時間をいかに楽しく過ごすかを考えながら暮らしているかが見えてきます。

例えば、夏には森の散策をしたり、湖でボードに乗ったり、自然をふんだんに楽しみます。

そのため「サマーハウス」と呼ばれる別荘を海や湖が近くにある田舎や森の中などに所有している人が多く、長期休みはサマーハウスで過ごす人も。代々受け継がれてきたサマーハウスもあり、時には古い家を購入し、お父さんが自ら休日にたくさんの木を使って日曜大工のようにリフォームしてしまうこともあるぐらい!

また冬は家の中で過ごす時間が多くなるので、インテリアやライティングを充実させて、長い夜を楽しむのです。

フィンランドの普通の本屋さんやスーパーでインテリア雑誌や住宅雑誌が他の雑誌を超えて、ずらりと数多く並んでいるのを見かけたことがあります。やはりインテリアへの関心の高さは日常生活からも感じらるのだなぁと実感したものです。

 

ュッゲやフィーカに学ぶこと

北欧にはいくつか、そのライフスタイルを表現する言葉があります。その言葉の意味から幸福な毎日への想いが伝わってきます。

今回は特によく使われる言葉をご紹介していきます。

 

ヒュッゲ(Hygge)   

HYGEEのイメージ

デンマーク語で「心地よく癒される時間のような幸福感」を意味します。

日本語ではぴったり当てはまる言葉はないのですが、大事な家族や友人との楽しい会話のひとときであったり、ゆったりキャンドルを焚きながら本を読む時間であったり、そんな心の豊かさを改めて感じられる言葉でもあります。

この言葉が使われるデンマークは毎年行われる世界国民幸福度ランキングでも第1位や2位にランキングされることも多く、他の北欧の国々も上位に軒並みランクインされます。

特にこのデンマークでは上流階級や貧困階層などがほとんどない社会が確立されており、家族や友人との繋がりや絆など人間関係をとても大事にしています。

このヒュッゲという言葉はそんな国だからこそ生まれた言葉だったのだと思います。

 

フィーカ(Fika)     

フィーカはスウェーデン語で、これを日本語で例えるならば「お茶をする」という意味で使われます。

北欧の国々では意外と思う方もいるかもしれませんがコーヒーの消費大国が多くあります。

その中でもフィンランド は世界的にも西欧のルクセンブルグに次いで第2位と消費量が多く、日本人のおよそ3.5倍の消費量と言われています。デンマークやノルウェーなどもかなり上位に位置していて、北欧ではコーヒーを飲む時間は特別で文化にもなっています。

「Ska vi fika?(スカ ヴィ フィーカ)」

これは「コーヒーを一緒に飲まない?」という意味で、気軽に声を掛けたりします。
職場での大切なリラックスタイムで同僚と会話を楽しんだり、友人と自宅やカフェでゆったりとした時間を過ごしたり、温かなコーヒーで寒い季節も癒されてほっとしたひとときを過ごすことができるのです。

 

ラーゴム(Lagom)    

スウェーデンではラーゴム(Lagom)と呼ばれる概念があり、これは「多すぎず少なすぎず、ちょうどいい」という意味があります。

これもヒュッゲと少し近い考えがあって、量で満たされるのではなく、自分達に合うものを大切にしていくことで心の豊さを満たしていくという考え方です。

物質的なものにおいてもそうですが、仕事や勉強についてもほどほどに無理をしない範囲での時間の使い方を重視し、その分、家族や友人などと過ごす幸せな時間を大切にしています。ラーゴムの概念はスウェーデンで生まれたブランドIKEAやH&Mなどもその考え方に通じるものがあるのかもしれませんね。

それでは、ここからそんな北欧インテリアの5つのポイントをご紹介していきます!

 

1:ホワイトとブラック&グレイ

北欧のホワイトベースのキッチン

北欧の家といえば真っ白な壁にシンプルに置かれたデザイナー家具などが印象的なイメージがありませんか?

ではなぜ北欧のインテリアに真っ白の壁が多いのかご存知でしょうか?

それは白い壁にすることで窓から差し込む太陽の光が壁に反射して、部屋全体を明るく感じさせてくれるからなのです。

冬になると日が短く、家の中への太陽光の入る時間が少なくなるこの地域では壁を白くして少しでも部屋を明るくし、そこに家具や雑貨のデザインやカラーを取り入れて、空間を彩ります。

夜になれば照明のライトを灯すことで、その温かな光が反射し陰影が壁へ綺麗に映し出されるのも落ち着く空間を作っている要素のひとつ!

さらに天井の高さを空間によって高低差をつけたり、その一部に木材パネルなどを貼って仕上げたりすると、シンプルでありながらもスタイリッシュな空間に仕上がるのです。

またアクセントにはブラック色やグレー色を使った家具や雑貨が使われることもあります。

これは他の雑貨などがカラフルなものであっても、ブラックを取り入れることでスタイリッシュにまとめることが出来るのです。

このバランスは元々北欧の人々がもつセンスの良さも感じられます。
例えばアートや文字が書かれたブラックボードを使って、一部の壁をアクセントとして利用したりするなどもうまくブラックを活かすことができる北欧インテリアのGOODアイテムなのです。

 

2:北欧のくつろぎの灯り

キャンドルと灯り

北欧に限らずヨーロッパの国々では灯りを青白い蛍光灯のように煌々と明るくすることはせず、多灯使いで柔らかなオレンジ色の暖かい灯を楽しむという文化があります。

ダイニングのペンダントやリビングのソファの横にあるフロアランプ、テーブルランプなども用いながら、

多くの灯りを重ねることでより温かみが深まります。さらに重なった灯りの陰影によって心地よさを作り出します。

ディナーの時間にはダイニングでキャンドルを灯し、食事と共にその揺らぎを楽しみます。

リビングでは暖炉をつけて、家族で囲み、会話を楽しんだり、鍋を煮込んだり。寒い冬が長い北欧の住まいでは暖炉が暮らしの中心とも言えるくらいの存在でその炎は心も暖かくしてくれます。

灯りは毎日に穏やかさを与えてくれる重要なアイテムなのです!

 

3:大きい窓とディプレイ

窓辺の植物

北欧ではリビングやダイニングに大きな窓を設けている家が多くあります。

その理由のひとつは太陽の自然の光を存分に取り込むこと。

そしてもうひとつの理由は周りの自然の風景を家の中でも楽しむ為でもあります。

北欧の家は広い敷地に建てられていることも多く、白樺などの木々に囲まれた広大な風景が窓から見渡せることができるため、窓を大きくすることで、外と中との繋がりを持たせ、外の景色がインテリアに溶け込むと風景が見える窓はまるで、壁一面にひとつの絵を飾っているかのようになるのです。

さらに家の中にもグリーンやハーブなどを飾ることも多く、窓から入る自然の光をたくさん浴びることができ、植物を育てることにもとても役立ちます。

またダイニングに大きな窓を設けると、美味しい野菜やハーブを使った手料理を自然の中にいるような雰囲気で迎える朝食はこの上無く格別なのです!

 

4:スタイリッシュな家具・雑貨

アルテックなどの北欧の家具

家で過ごす時間を大切にする北欧。そのため今も昔も家具や雑貨のデザイナーを目指す人も多く、北欧初の有名なメーカーも数多くあります。

 

家具デザイナー   


Hans Jørgensen Wegner
(ハンスJ.ウェグナー)

デンマークを代表する家具デザイナー。Yチェアー、ザ・チェアなど名作が多数あります。

ARNE JACOBSEN(アルネ・ヤコブセン)

デンマークを代表するデザイナー。市庁舎からホテルなど建築から、家具照明、カトラリーデザインまでデザイン。

アントチェア、セブンチェア、スワンチェアなどが有名。

Alvar Aalto(アルヴァ・アアルト)

フィンランドを代表する建築家、デザイナー。
フィンランド では数々の建築をデザインするだけではなくロヴァニエミの街の都市計画にも携わった。家具ではティー・ワゴン、スツール60などをデザイン。

 

家具や雑貨のメーカー     


marimekko(マリメッコ)

フィンランド で生まれた独創的なデザインのファブリックなどで知られる雑貨メーカー。
Unikkoの花柄プリントなどが印象的。自然をモチーフにしたデザインも多く、カーテンやバッグ、服など幅広いアイテムが揃っています。

Finlayson(フィンレーソン)

1820年に創業されたフィンランド 最古のテキスタイルブランド。
50年前に誕生した象柄のELEFANTTIのデザインは今も人気のシリーズ。
他にも動物や植物をモチーフにした柄が中心で、キッチンリネンやホームテキスタイルなどの多くの商品を展開しています。

iittala(イッタラ)

フィンランド のイッタラ村の小さなガラス工場で誕生したのが始まり。
現在ではガラス製品以外の食器等も扱い、独特な個性がありながらも決して飽きのこないデザインが魅力のメーカー。
アルヴァ・アアルト、アイノ・アアルト、カイ・フランクなどオリジナリティ溢れるデザイナーが手掛けています。

 

5:古き良きものを大切にする

北欧の代々引き継がれた食器そして意外に思う人も多いかもしれませんが、北欧では古い家はもちろん、家具や食器、日用品なども代々受け継がれているものなど大切に使います。

祖母の時代から使っていた食器やブランケットなども大事にし、いらなくなったものなどはフリーマーケットに出したり、譲るなどして、リサイクルの文化が浸透しています。

ものを大切にする文化から北欧では長く使えるデザインが重視されていて、家具や食器などのメーカーでも50年、100年のロングセラーも存在します。

有名メーカーのものも受け継がれ、マリメッコ やイッタラなどの今ではなかなか手に入らないレアな古いデザインのものもリサイクルされフリーマーケットなどで掘り出し物に出会えることもしばしば。

多くの歴史が刻まれながらインテリアのデザインが愛着のあるものへと繋がっていくのです。

 

ライフスタイルとインテリア

今日では日本でも住宅デザインやインテリアなど様々な北欧デザインが取り入れられています。

そして、そのデザインは北欧のライフスタイルを知ることでさらに実感することができます。

例えば・・・
北欧の国々では庭でラズベリーを育て、昼間に採れたそのラズベリーをふんだんに使ったパイを焼き、挽きたてのコーヒーを飲みながら、家族や友人とパイを食べ、ひと時を過ごしたりします。

夜にはお父さんが日中割っていた薪をリビングの暖炉に入れ、さらにご馳走の並んだ食卓にはキャンドルが並び、その暖炉とキャンドルの炎の揺らぎに癒されながらディナーを楽しむというような自然と溶け込む暮らしをしています。

このような自然と共存するライフスタイルを日常として過ごしている一家がとても多いのです。

北欧のインテリアは寒い冬の長い夜を家でゆったりと過ごすための場であったり、家族や友人との大切な時間を過ごす豊さを感じられる場であったり、シンプルモダンでありながらも温かく、心を豊かにしてくれる毎日には欠かせない空間となるのです。

厳しい気候であっても楽しく暮らすアイデアがたくさん詰まった北欧のインテリア。

シンプルながら温かな北欧インテリアに学ぶ暮らしのヒントを見つけてみてくださいね!

 

こちらの記事ではAlvar Aalto(アルヴァ・アアルト)についてもご紹介しています。↓↓↓

フィンランドの街に溢れるアルヴァ・アアルトの魅力とは

 

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