北欧の国々では多くの家具や雑貨のデザイナー誕生から100年以上経った作品も多くある中、今もなお、そのシンプルなデザインは世界中で愛され続けています。
そんな人気のデザインを牽引した当時のデザイナーたちをご紹介していきます。さて、みなさんはこの中でどのくらいご存知でしょうか?
ハンス・J・ウェグナー
Hans J Wegner(ハンス・J・ウェグナー) 1914-2007
デンマークを代表する家具デザイナー。生涯でなんと500以上の椅子のデザインをし、国際的にも高い評価を受け、北欧デザイン界にも多大な影響を与えたデザイナーです。
彼は17歳で家具職人の資格を取得。兵役のためにコペンハーゲンへ行き、その後も残り、コペンハーゲン美術工芸学校に入学。のちに家具デザイナーとなりました。
作品にはYチェアやチャイナチェアなどがあり、今でも愛され続けています。
アルヴァ・アアルト
Alvar Aalto(アルヴァ・アアルト)1898~1976
フィンランドで建築から都市計画までも行っていた20世紀を代表するデザイナーでもあり、Artekの設立者の一人でもあります。建築では「フィンランディア・ホール」や「アカデミア書店」など主にフィンランドなど200以上の建築物の設計を行い、家具や照明器具なども多くの商品をデザインしています。家具はスツール60やティートロリー、照明はゴールデンベルなども有名です。
アルヴァ・アアルトについてはこちらでも詳しくご紹介しています↓↓↓
フィンランドの街に溢れるアルヴァ・アアルトのデザインの魅力とは
アルネ・ヤコブセン
Arne Emil Jacobsen(アルネ・イミール・ヤコブセン)1902~1971
デンマークの建築家でもあり、家具やプロダクトデザイナーでもあったヤコブセン。
アントチェアやスワンチェア、エッグチェアなどの数多くの作品をデザイン。その中でもセブンチェアは500万本が販売されており、北欧モダンの定番のアイテムになっています。
彼は建築家のフレミング・ラッセンに勧められ、デンマークの王立芸術アカデミーで建築を学び、その後、数々の建築作品を残します。最後に手掛けたデンマーク国立銀行は竣工を見ることなく、彼はこの世を去り、それが遺作となりました。
建築などの大規模なものから細やかさなデザインのカトラリーや時計などのプロダクトデザインにも携わっていました。
グラフィカルな文字盤が印象的なバンガーズ ウォールクロックは永遠の名作と言われています。
ボーエ・モーエンセン
Børge Mogensen(ボーエ・モーエンセン)1914~1972
デンマークを代表する家具デザイナー。
コペンハーゲン芸術工業学校や王立芸術アカデミーで家具について学び、その後、家具デザイナーとして活躍しました。
彼はデモクラティックデザイン(みんなのためのデザイン)の理念のもと、近代家具の中でも良質かつ機能的で丈夫な家具をデザイン。手頃な価格で製作し、一般庶民に寄り添ったデザインをしていました。
シェーカー様式の椅子を再構築して作られたとして発表した「J-39」や「スパニッシュチェア」「ハンギングチェア」など、その簡素でありながら温かみを感じられるデザインが魅力です。
彼は1942年に誕生したFDB Møbler(デンマーク生活協同組合連合会の家具部門)の初代デザイン責任者に就任し、デザインを手掛けた「J52 」を基盤にした「J52B」「J52D」「J52G」なども製作しています。
グンナール・アスプルンド
Erik Gunnar Asplund(エーリック・グンナール・アスプルンド)1885~1940
アルヴァ・アアルトやアルネ・ヤコブセンにも大きな影響を与えたスウェーデンの建築家。
彼は建築以外のデザインも行い、インテリアや什器を手掛けたストックホルム市立図書館は世界一美しい図書館と言われています。
建築家が全盛期とされる55歳で彼はこの世を去り、そのため作品はそれほど多くはないものの、それらは北欧モダニズムをもたらしてきた作品です。携わった「イェーテボリ裁判所増築」では建築だけではなく、家具デザインにも取り組み「ヨーテボリ1チェア」を生み出しました。
エーロ・サーリネン
Eero Saarinen(エーロ・サーリネン)1910~1961
フィンランドで生まれ、アメリカ合衆国で活躍した建築家でもあり、家具デザイナーでもありました。
彼は13歳の時にアメリカ合衆国に移住し、彼の父が教えるミシガン州のクランブルック美術大学で学び、そこで出会うレイ・イームズと後にニューヨーク近代美術館(MoMA)主催の家具デザインコンペに一緒に応募し、なんと6部門中2部門で優勝。
建築では「ゲートウェイ・アーチ」と呼ばれる「ジェファーソン記念碑」のコンペティションで1等を獲得し注目を浴び、その後もジョン・F・ケネディ国際空港の「TWAターミナルビル」も手掛け、話題となります。家具デザインでは代表作に「チューリップチェア」があります。
フィン・ユール
Finn Juhl (フィン・ユール)1912~1989
デンマークを代表する建築家でもあり、家具デザイナー。
柔らかな丸みのあるフォルムや曲線がありながらシャープな木部のチェアなどが特徴的なデザイン。その美しさから「彫刻の彫刻家」とも呼ばれています。
彼の代表作は「イージーチェアNo.45」は世界で最も美しい肘を持つ椅子とも言われる程の名作です。
コーア・クリント
Kaare Klint (コーア・クリント)1888~1954
デンマークの家具の父とも称される建築家でもあり、家具デザイナー。
彼は1924年、デンマーク王立大学の建築学部に新設された家具コースの初代責任者となり、それまでの様式を重視した建築や家具デザインの手法を改革し、機能性を考えたリデザインを追求。ボーエ・モーエンセンやハンス・J・ウェグナーなどにも大きな影響を与えました。
彼の代表作には「ファーボチェア」や「レッドチェア」などがあり、また照明では「レ・クリント」のシリーズで1枚のプラスチックシートからつくられ、精巧なプリーツで折り上げられているレ・クリントの「101」は彼のデザイン。上下左右どの角度から見ても完璧な美しさがとても芸術的で、現在でも愛され続けています。
まとめ
今回ご紹介した他にも多くのデザイナーが活躍する北欧の地域。その作品はどれも素晴らしいものばかり。
その時代に切磋琢磨しながら良いデザインとは何かを追求し続けた背景も感じられ、今の時代に引き継がれているものだと実感できます。
北欧のデザイナーズ照明についてこちらでもご紹介しています↓↓↓
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