料理を作る時にも便利でデザインもおしゃれな鍋『Le Creuset(ル・クルーゼ)』や『Staub(ストウブ)』カラーの種類も豊富で人気の高く、一度購入すると色々揃えたくなるのも魅力です。実はこれらのメーカーはいずれも北フランスで誕生した鋳物ホーロー鍋。それにはその地域の歴史にも関わりがあります。
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ホーローの技術と北フランスの歴史
日本でもお店で見かけることが多い、ル・クルーゼやストウブ。最近ではINVICTA(アンヴィクタ)社のCHASSUER(シャスール)やVERMICULAR(バーミキュラ)なども人気が高い鋳物ホーロー鍋です。
バーミキュラは日本製ですが、ル・クルーゼは北フランスのエーヌ県のサン=カンタン市郊外、ストウブはアルザス地方、シャスールのアンヴィクタ社はシャンパーヌ地方とバーミキュラ以外は誕生したのがどれも北フランス。
そもそもホーローとは何かというと、漢字で「琺瑯」と書き、英語にすると「Enamel(エナメル)」
鉄やアルミニウムなどの金属素材にガラス質の釉薬をかけ、高い温度で焼き上げる技術で出来上がるので、硬くて丈夫な鉄の強さと、ガラスのもつ美しさと耐食性・耐摩耗性・非吸着性を生かし、熱伝導率が良いが錆びやすい性質のある鉄をガラスがカバーすることで、両方の性質を兼ね備えることができます。
ちなみに最古のホーローの製品と言われているのはエーゲ海のミコノス島で発掘された、なんと推定紀元前1425年前頃のもの。他にもツタンカーメンの黄金のマスクの表面にもホーローの加工が施されているのだそうで、古代からその技術は使われていたとされています。
北フランスにあるアルザス=ロレーヌの地域は昔から石炭と鉄の産地として知られており、とくに鉄鋼はヨーロッパ第一の生産高で産業革命以降、工業地域として飛躍的に発展していきました。そのためフランスとドイツの間で、しばしば鉄鉱石と石炭を巡って、争いとなったことでも知られています。
アルザス=ロレーヌ地方は19世紀末から20世紀初頭にかけてヨーロッパを中心に広まったアールヌーボーの発祥の地でもあり、花や植物などの有機的なモチーフや曲線の組み合わせによる装飾性などで象ったデザインには鉄やガラスが多く使われており、その技術の歴史には深いものがあります。
ホーロー鍋の特徴
ホーロー鍋のメリット
1:耐久性
鉄の表面にガラス質の釉薬をかけており、それが強固に密着しているので、傷がつきにくく長く使うことができます。ガラス質の表面は、ツルツルしているので。汚れをサッと取ることができ、においうつりもしないので、清潔さも保て、食品の保管にも向いています。
2:耐熱性と保温性
耐熱性が高く、保温性に優れており、ゆっくりとムラなく熱が伝わることで、食材の表面が強く保たれ、煮崩れしにくく、旨味を引出します。そのままテーブルに出しても、料理が冷めにくく、料理を温かく保ちます。
3:色合いを長く保てる
ガラス質に着色されているので、長い年月が経っても色あせることなく、美しいカラーを保つことができます。色鮮やかなカラーをラインナップしている商品も多いので、インテリアや他の食器などと併せて購入も楽しめます。
ホーロー鍋のデメリット
1:重量と衝撃
下地の鉄と何層にもなっているガラス層により、他の調理器具と比べると、どうしても重量が重くなってしまいます。またガラス層のため衝撃には弱いので、取り扱いには注意が必要です。たわしなどで擦ることや、熱い状態から冷まさずに急に冷水などを入れるのは割れの原因となリます。
2:価格
他の製品から比べるとホーロー鍋は若干高価なものが多いですが、長期で使うことができることを考えると費用対効果としてはそれほど高いものでもないかもしれません。
ホーロー鍋で食べたいフランスの伝統料理
シュークルート / choucroute
アルザスの名物料理のひとつで、シュークルートはアルザス語のSürkrütが由来と言われており「酸っぱいキャベツ」と言う意味があります。
自然発酵によってできるキャベツの自然加工食品で、少し酸味のある味が特徴。私たちが食べている日本のキャベツとは違い、シュークルート用のキャベツは品種が限られています。キャベツは夏から秋に収穫されるので、秋から冬にかけて食べるのが一般的。発酵させたキャベツは保存にも適していたことから昔から作られてきました。
アルザス風のシュークルートは大きな容器にキャベツの千切りと粗塩、ネズの実と一緒に1週間かけて発酵させ、その後取り出し、ベーコンやジャガイモ、豚バラ肉、ソーセージなどをくわえ、ブイヨンやアルザスの白ワインなどで煮込んで仕上げます。
ポトフ / pot au feu
フランスの家庭料理のひとつで、牛肉やソーセージなどの
肉類と大きく切ったニンジン、タマネギ、セロリなどの野菜類を、じっくり煮込んで作る料理。
寒い冬には最適で日本でもよく家庭で食べられ、冷蔵庫の食材で作ることができる、とてもシンプルな料理です。
煮込んで作ることから、フランス語でpotは「鍋」、feuは「火」というため、ポトフは 「火にかけた鍋」といった意味になります。
食塩や香辛料などで味を整え、肉や野菜は食べやすい大きさに切って、マスタードを添えて皿に盛り付け、スープは他の料理でブイヨンとしても使用したりします。
ブッフ・ブルギニョン / bœuf Bourguignonne
フランス北東部にあるワインで有名なブルゴーニュ地方の郷土料理で、牛肉の赤ワイン煮込み料理です。
フランス全域で家庭料理として広く親しまれています。
元々は庶民的な料理ですが、フランス料理の定番となっていて、パリのビストロでも食べることができます。
大きめの牛肉とべーコン、オニオン、ニンジン、トマト、セロリ、エシャロット、ジャガイモなどをハーブと一緒に赤ワインで煮込んで作るビーフシチューの元にもなっている料理です。
煮込めば煮込むほど美味しさが増すので、ブルゴーニュのワインと北フランスで生まれたホーローの鍋でチャレンジしてみてもらいたい料理のひとつです。
ホーロー鍋で楽しむ
北フランスの伝統の技術を活かして作られた鋳物ホーロー鍋。それぞれのブランドが雰囲気を活かしたデザインやカラーを種類豊富に取り揃えており、その中でもル・クルーゼ各国の限定カラーなども発売することもあります。食卓を飾るアイテムとしてコーディネートを楽しめるのも嬉しい。
ぜひ北フランスへ訪れてみてください。美しいホーロー鍋に巡り合えるかもしれませんよ。
Le Creuset France(ル・クルーゼ・フランス)
https://www.lecreuset.fr/fr_FR/
Le Creuset Japon K.K.(ル・クルーゼ・ジャパン)
https://www.lecreuset.co.jp/
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