2025年4月から10月にかけて開催される「大阪・関西万博2025」。
そのテーマ「いのち輝く未来社会のデザイン」の象徴ともいえるパビリオン群は、展示内容だけでなく建築そのものが語る未来像として来場者を魅了しています。
以下では、写真を手がかりに展示と建築の一体感を感じられる構成でご紹介します。特にフランス館はファッションなどのこれまでの歴史もオシャレに見どころ満載、じっくり深掘りしました。
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万博の象徴|グランドリング(大屋根リング)
会場をぐるりと囲む2km超の木造構造、「Grand Ring(大屋根リング)」は、世界最大級の木造建築として注目を集めています。
写真で見えるこの巨大な木のアーチは、仙台の伝統的な工法(貫構法)を現代に活かし、木造建築ならではの温かみと現代的なスケール感が融合した構造美そのものです。歩くこと自体が体験となるように設計されたスカイウォーク、光と影が交差する空間は、建築を「体感する」ことの意味を改めて問いかけます。
フランス館|エレガンスと革新が融合する建築と展示
フランス館は、外観からして来場者の目を引く存在です。
公式テーマは「愛の讃歌(A Hymn to Love)」。赤い糸の伝説を媒介に、「自分への愛」「他者への愛」「自然への愛」という多様な“愛”のあり方を未来像として提示しています。
エントランスは劇場のように開かれた構成。外壁はカーテンのベールに包まれた舞台空間のようで、建築が“幕を開けるその瞬間”の高揚感を演出しています。
曲線のベールが柔らかく建物全体を覆うデザイン。光の角度によってカーテンのしなやかさが際立ち、昼夜時間によって異なる表情を見せています。建築的には「演出の場」であり、「感動を呼び起こす建築」を体現しています。
建築的に注目したいのは、自然光を取り込みながらも日射をコントロールするルーバーの配置や、展示空間の動線設計です。来場者がフランス館に足を踏み入れると、建物そのものが「旅」を演出するように設計されており、展示を順に巡る体験がまるで都市を散策しているように感じられます。
壁一面にブランドのアイコニックなバッグが整然と配列され、建築とディスプレイが一体化し、「壁=展示」という発想の逆転により、空間そのものがブランドメッセージを体現されています。
巨大な球体に投影されるLOUIS VUITTON(ルイ・ヴィトン)のロゴは、光と形状によって“未来の記号”として立ち上がり、訪問者の記憶に強く残ります。これらの演出は、建築と展示が境界なく溶け合った革新的空間といえるでしょう。
DIOR(ディオール)の白いドレス空間では、純白の空間に照明を絞り、ドレスがまるで光そのもののように浮かび上がります。
衣服と光の効果が融合し、そこはまるで来場者を“感覚”の旅へと誘いこんでいるような美しい空間です。
オーストリア館|音楽のリズムを宿す木の構造
オーストリアパビリオンのテーマは「オーストリア:未来を作曲」。
建築外観そのものに「音楽と自然」を象徴させています。木材をふんだんに使用したデザインは、森林資源を持つオーストリアの国土を反映させ、同時に温もりある雰囲気を来場者に与えます。
外観は規則的なリズムを持ち、まるで音楽の旋律が形になったかのようです。
外観の存在感だけでも十分に国のアイデンティティを語っているように思えます。建築的に見れば「環境と調和する建築」を体現しており、サステナブルデザインの象徴といえるでしょう。
ポーランド館|幾何学と木組みの現代的再解釈
ポーランド館は幾何学的な形状が印象的です。螺旋を描く木組みのファサードと幾何学的な立体形状に再構築されており、見た目に強い存在感があります。
太陽光の当たりによって陰影が変化し、時刻によって異なる芸術作品のように映る点にも建築的な配慮が見て取れます。
ポーランドは歴史的に建築の多様性を持つ国であり、このパビリオンでもその精神が表現されています。外観だけでも「堅実さと挑戦心」を感じさせ、内部展示への期待感を高めるデザインです。
セルビア館|浮遊する森としての建築空間
「Floating Forest(浮遊する森)」をテーマとしたセルビア館は、森の一部が浮かんでいるかのような建築デザイン。写真では緑と構造が一体化して見え、都市空間に“森のオアシス”を創出しています。
内部ではビー玉を使った仕掛けやインタラクティブ展示で「建築=遊びの舞台」を実現しています。
ハンガリー館|水と音楽の国を表す建築
ハンガリー館は曲線を活かした外観で、ドナウ川の流れを彷彿とさせます。
ハンガリーといえば音楽の国でもあり、外観デザインのリズミカルな構成は楽曲の旋律を思わせます。
リズミカルで滑らかな線が連続し、建築自体が“旋律”として立ち上がっているよう。木とガラスを組み合わせた設計は、自然光を柔らかく内部へ導き、静謐さと動きの両方を感じさせる空間です。
見る角度によって印象が変わる動きのあるファサードは、まさに建築的表現の妙といえるでしょう。
飯田グループ×大阪公立大学|未来都市を体感する展示
日本からは、住宅業界を代表する飯田グループと大阪公立大学のコラボレーションによる展示が注目されています。テーマは「未来都市」。エネルギー循環、AI技術、サステナブルな住まい方など、これからの暮らしをリアルに想像できる空間が用意されています。
建築的に見れば、この展示は「都市計画そのものをデザイン展示として表現したもの」といえます。個々の建物のデザインではなく、都市スケールでの建築的提案を示している点に大きな価値があります。
写真の未来都市の巨大模型は、都市計画を“展示”と建築として融合させた実例。直径24メートルものジオラマに、スマートシティ技術やエネルギー循環を組み込み、昼夜の光演出でリアルな都市の展示がされているのも圧巻です。
まとめ|写真と建築で体感する万博の世界観
今回ご紹介した万博のパビリオンは、ほんの一部ですが、それぞれが「建築そのものが語るメッセージ」をより深く感じることができます。
フランス館では、光や素材、展示すべてが一体となり、訪れる人の感動を導く建築体験が広がります。
オーストリア館は、音楽と木の響きを宿した彫刻的な建築で、五感で楽しむ空間を演出。
ポーランド館は伝統工法を現代アートに昇華させ、文化の継承と革新を同時に体感できます。
セルビア館では「浮遊する森」をテーマに、まるで建築遊園のような遊び心あふれる空間が広がります。
ハンガリー館は、流れや旋律を感じさせる美しい建築デザインで、空間自体が物語を紡ぎます。
そして未来都市模型は、都市の構造や社会の可能性を“読む”建築的展示として、思考を刺激します。
さらに、これらのパビリオンをつなぐ象徴的な存在として、大屋根リングが会場全体を覆い、訪れる人々に一体感と壮大なスケール感をもたらしています。この大屋根リングは、各国の個性的な建築をまとめつつ、万博全体のテーマである「共生と未来へのつながり」を象徴する役割を果たしています。
建築単体の魅力と、会場全体を貫く大屋根リングの存在をあわせて体感することで、万博はただの展示ではなく、五感と心で楽しむ壮大な建築体験として心に残るのだと思います。
EXPO2025 大阪・関西万博 公式HP
https://www.expo2025.or.jp/
場所:大阪 夢洲(ゆめしま)
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