絵本のような街並みを作る
コッツウォルズの
美しい風景とは

Cotswold

まるで絵本から出てきたような自然溢れる風景が魅力のコッツウォルズ。

ウィリアム・モリスが最も美しい村と賞賛したバイブリーなど多くの村が点在しており観光地として親しまれています。なぜウィリアムモリスがそこまで気に入ったのか?それはこの地に訪れると実感することができました。その魅力ある長閑な景色とその歴史など詳しくご紹介していきます。

ッツウォルズの歴史

もうかなり昔のことにイギリスの中央部に位置する古い歴史のある街並みのコッツウォルズに訪れたことがあります。オックスフォードから車でおよそ1時間位の移動したところにある街で、そこは中世時代のままの美しい田園風景で溢れていました。

標高も330mという高原地で、かつては羊毛の産業が盛んだったということもあり『羊小屋のある丘』を意味している『コッツウォルズ』という名前が付けられています。

その景観は特別自然美観地域(Area of Outstanding Natural Beauty)にも指定されているほど美しい地域。チーズやミルクなどが有名な場所で、今では世界各地からの旅行者が訪れる大変人気のある観光地になっています。

 

コッツウォルズの街並み

コッツウォルズの家

コッツウォルズの魅力はなんと言っても蜂蜜色の建物!

街に入るとそこにある家々は石積みの壁で造られています。これらのほとんどは18~19世紀に造られ、セメントなどは使用されておらず、石のみで積み上げられており、建物の床から屋根の瓦に至るまで「蜂蜜色の石」「ライムストーン」とも称される石灰岩「コッツウォルズストーン」が多く使われています。

煙突のある低く伸びた切妻屋根の家が並んで建てられているのですが、かつては寒さをしのぐために暖炉が利用され、煙突の数=暖炉の数だったものが、イギリスで燃料と排煙規制の法律が成立となり、石炭を燃やすことが禁止されてから、今では暖炉を壊す家も増え、その名残で煙突のみ残っているのだそう。

モデルビレッジ

コッツウォルズの人気の村、ボートン・オン・ザ・ウォーターには街全体を1/ 9に縮小し再現したミニチュアの街を楽しむことができるモデル・ヴィレッジ(The Model Village)があります。そこでは歴史の街をまるでガリバーになったように見下ろせる体験ができるのでぜひ立ち寄ってほしい、ここにしかない魅力の場所です。

 

ウィリアム・モリスが愛した風景

最初にも書きましたが、イギリスのテキスタイルデザイナーでもあるウィリアム・モリスもこのコッツウォルズにかなりの影響を受けました。彼はデザインの歴史としては欠かせない1880年代に始まったアーツ・アンド・クラフト運動の主導者でもあリます。

「英国におけるアーツ・アンド・クラフト運動はここ、コッツウォルズで全盛期に到達した」と運動の推進者のひとり、ロバート・アッシュビーの有名な言葉として残っているほどです。

 

アーツ・アンド・クラフツ運動  

そもそもアーツ・アンド・クラフツ(Arts and Crafts Movement)とは何かというと、その名の通り、美術と工芸という意味を持ち、ヴィクトリア時代のイギリスで芸術・工芸・生活を一致させようと起こった工芸革新運動のこと。

産業革命が起こった影響で商業が徐々に大量生産の傾向となっていき、質が低下していってしまったため、そのデザインをまた向上させるために、手工芸の復興を主張し、芸術と社会とを結び付けようと試みるものでした。

それは家具、什器、壁紙、装幀、插絵、字体など、デザイン装飾芸術の幅広い領域で多くの革新となり、さらにはアール・ヌーボーにも大きな影響を与えるものとなったのです。

当時、この運動には多くの芸術家や工芸家が共感し、1888年にアーツ・アンド・クラフツ展示協会が設立されると瞬く間に世界へと拡がりをみせ、その思想は大西洋を超え、さらにはアメリカ大陸までにも渡っていくのです。

 

ウィリアム・モリスが愛した場所  

その運動の主導者でもあるウィリアム・モリスは、まさにここコッツウォルズの田園地方に感化され、1871年から、彼は亡くなる1896年まで、レッチレード近くにあるケルムスコット・マナーを居住地として使用していました。

そしてそこにほど近いバイブリーをモリスは「この世で最も美しい村」と賞賛したと言われています。

ウィリアム・モリスの今でも長い人気を誇る代表的作品、『いちご泥棒』もこのケルムスコットでの家庭菜園でいちごを試みた際に鳥たちに食べられてしまったことから逆にインスピレーションを得て、デザインされたものでした。

彼が述べた「有用とも美しいとも思えないものを家のなかに置いてはいけない」という言葉の通り、美しいデザインを数多く残しました。

コッツウォルズの風景を眺めていると、彼がこの美しさに魅了され様々な自然と繋がるような作品のアイデアに結びついたのだと確信することができます。

ぜひ彼の目線で体感してみてください!

 

ハリーポッターの魔法学校

グロスター大聖堂

他にもコッツウォルズ地方には見どころがたくさん!グロスターと呼ばれる地域には、歴史ある建物や人気のスポットが数多くあります。

特にシンボル的存在のグロスター大聖堂はとても迫力もあり、ステンドグラスで造られた窓も美しく、ノルマン建築としても魅力的です。

ここにある扇形天井の回廊は、映画『ハリーポッター』の魔法学校のロケ地として使われたとしても有名になった場所です。他にもコッツウォルドにはレイコック村やバドリーババートン村などハリーポッターの撮影で使われた場所がたくさんあります。

映画好きな方には必見です!!

 

コッツウォルズの魅力

数多くの魅力ある村々が集まるコッツウォルズ。歴史ある建物ひとつひとつが今でも大切に使われ、その美しい風景を作り出しています。

ぜひこの絵本の中の風景に入り込んだような、不思議な景色が続く街並みをゆっくりと散策して楽しんでみてください。

コッツウォルズの玄関ドア

 

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